アイドルになりたかった話③

2021.3

 

アイドルになりたい話は終わりを迎え

アイドルになりたかった話しとなったわけである

しかし、これが本当のアイドルになりたい話の最終話である。

 

今から話すのは、私の就職活動の話である。

結論から言うと

「うまく行かなかったけれども、どうにかなった」

そんな就活話である。

 

私はずっと公務員志望であった。

それはなぜか、「女性が生涯働き続けるのには最適な職業であると母からいわれつづけていたからである。」

ここで私の中に一つ疑問がでる

何故女性は働かなければいけないのか?

私の生まれ育った家は完全に亭主関白な家であった。父の言うことが全てであった。

家は共働きである

父は母にいつもこう言っていた

「家のことができないなら働くな」

それを真に受けて働かなくなると次はこうだ

「家にずっと居るなんていい身分だ。働け!」

 

もちろん家事は全て母が行う。

 

そしてわたしにはこう言うのだ

「少しは家事を手伝ったらどうなんだ」

弟に同じことを言うことは決してなかった。

 

女だから家事を行え!でも仕事もしろ!

 

家事は女の仕事で何故女は仕事をしなければいけないのか

母は私に男と同じ土台で働くことを望んでいた。

それは何故か

 

自分が男と同じ土台で働けないことが

関係性に強弱ができてしまった原因だと考えるからだという。

 

娘には同じ思いをさせたくないといった母の思いを知り

私は、男と同じ土台で働くことにできる公務員になるしかないと思い込んだ。

 

 

家族が求めているのは地元の公務員である。

それは何故か、

直接的な言葉を聞いたことは無かったが

単純に寂しいからいてほしいという気持ちの他に

私に家族のぎくしゃくした関係を取り持ってほしかったのかなと思う。

そして私自身も、地元以外の場所で公務員になるという選択肢はなかった。

「何故そこの公務員になりたいのか?」と問われて

答えられる自信がなかったのだ。

 

曖昧な気持ちのまま公務員試験は近づいていく。

3月、就職活動が解禁されると同時に次々と内定を頂く友人たち

5月、公務員試験を間近に心だけがあせる私

6月、実家にいることに不安を覚える

 

そして6月中旬私は公務員試験の勉強を終わりにし、

就職活動を始めた。

【地元から離れた場所】で、【公務員と似た仕事内容】の企業

この二つの条件をクリアする企業なんて誰もが知っている大企業だけであった。

 

7月、大企業の最終募集のESを書きながら公務員試験を受ける日々を送った。

 

結局のところ、ただただ実家から離れたいで受かるようなことは無く

経験と企業の理念が一致しているたった一つの企業だけがESを通過した。

そのあとはトントン拍子

その一つの企業のみから内定を頂いた。

6月から就活を初めて、最終募集でインターンにも参加しなかった大企業への内定をゲットした。

私の就活は上手くはいかなかったが、どうにかなった。

 

そして社会人になる。

私はアイドルになりたいと言えなくなる。

 

アイドルになりたい話はここで終わりを迎え、

アイドルになりたかった話がこの先ずっと続いていくのだ。